南山大学観世会Blog

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2013-01-02-Wed-14-42

羽衣の詞章を読み解く(1)

1月5日に出す能「羽衣」を少しでも楽しく観ていただくために
能の詞章をちょっとだけ取り上げて解説したいと思います。

羽衣を解釈する一助になれば幸いです。
参考文献:日本古典文学全集『謡曲集一』小学館

素人の解説ですので、誤りなどあるかもしれませんが
大目に見ていただけると嬉しいです^^;

羽衣のあらすじはこちらのサイトをご覧ください。
the能.com 演目事典>羽衣

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その1【天人の五衰】

「涙の露の玉鬘、かざしの花もしをしをと
 天人の五衰も、目の前に見えてあさましや。」


現代語訳:
天人の涙は、露の玉のごとくこぼれ、
玉の髪飾りにつけた花もしおれて、しおしおとした姿は、
話に聞く「天人の五衰」を眼前に見る有様、まことにあさましいことだ。


天人が漁夫に羽衣を取られてしまったことで
涙にくれて衰弱していく様子を表しています。

「涙」「露」「玉」が天人の涙を表す縁語となっていて、
この場面でシテの天人は橋掛かり(舞台から幕の方へ伸びている橋)で
泣く動作(「シオリ」といいます)をします。

「しをしを」という擬態語は現在ではあまり使われませんが
草木が「しをれる」の「しを」と関係しており
気落ちして力が抜けたさまや、涙にぬれたさまを表します。

さて、「天人の五衰」という言葉ですが
これは天人が死ぬ時にあらわれる五つの衰弱の様子を指しています。

『往生要集』では次のように書かれています。

命終に臨む時は五衰の相現ず。
一には頭の上の花鬘忽ちに萎み
二には天衣、塵垢に著(けが)され、
三には腋の下より汗出で、
四には両の目しばしばくるめき、
五には本居を楽しまざるなり。


羽衣を取られた天人は、天に帰ることのできないあまりの悲しさに
心も体も弱り果ててしまうわけですね。

実際にはシオリ(顔をふせて手を二回顔にかざす)だけで
その悲しみを表さなければならないので難しいところです...

この詞章が聴こえてきたら、
「天人の五衰」を想像しながら観ていただければと思います。



次>その2【白衣黒衣の天人】

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(追記です)

「かざしの花もしをしをと」という文句がありますが
今回、実際にはシテの天人の頭の冠に花はつきません。

冠に何をつけるか、というのは同じ演目でも変わることがあり、
羽衣で実際に花をつける場合もあります。

今回何が冠についているかというのは
実際に観て確認してみてくださいね
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