南山大学観世会Blog

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2013-10-20-Sun-01-18

能を扱った作品紹介第2回目『花月物語』

おひさしぶりです。竹内です。
今回は能を扱った作品紹介第2回、というお題での更新です。
ご紹介する作品は森川久美先生の傑作短編『花月物語』。
これは超名作です。

能を扱った少女漫画、というと多分皆様、
十中八九『花よりも花の如く』を思い浮かべると思います。
ちょいマイナーどこで『夢の碑』シリーズでしょうか。
森川久美先生の作品知ってる人はほとんどいませんよね。
まぁ、短編一作だけなので仕方がないってっちゃあ仕方がないのですが。

もしもこれから先『バレエ・マンガ ~永遠なる美しさ~』展、
みたいに『能の漫画~悠久の美を感じて~』展的なのがあったとして、
森川久美先生の作品がなかったら悲しすぎる…。
というわけで、ぶっちゃけこのブログの更新してる場合じゃないのですが、
どんなことがあってもこの作品の素晴らしさは叫ばねば!
という気持ちでこの記事を書いております。

この『花月物語』という作品は能の内容を漫画化したものではありません。
かといって、能楽師を主人公にしたものでもありません。
これは能の花月を下敷きに描かれたオリジナルストーリーの漫画です。

ストーリーはこんな感じです。

いつともわかぬ昔のこと、舞台は京の都から少し離れた郷。
主人公の義輝(よしてる)は将軍の息子だが跡継ぎ争いに破れ、
花月と名を変えて旅芸人の一座に身を隠している少年。
政略結婚の結果の子である義輝は、父親に愛されず屈折した性格に育っていた。

義輝が滞在先でであった領主・頼員(よりかず)は
かつての戦で妻を亡くし、息子と生き別れた過去を持つ。
息子は山伏にひろわれていたが、旅の途中で病で死んでいた。
それからというもの、頼員は息子が生きていれば同じ年頃になる子をみると、
亡き子の面影を捜してしまう。
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頼員は義輝に息子の面影を見る。
そして義輝もまた、頼員に惹かれていく…。

ところどころに能の花月っぽいキーワードが潜んでいるあらすじですね。
さすが森川久美先生、設定の使い方がお洒落!
能の花月は七歳で天狗にさらわれ諸国の山を巡った少年とその父が再会する話。
『花月物語』では息子をつれて行くのは山伏ですが、天狗って山伏ですよね(強引)。
あ、ちなみにこれ、BLじゃなくてJUNEなんでよろしくお願いします。

あらすじだけではなく作中の台詞やモノローグにも花月の謡の内容が盛り込まれていて、
たいへん素敵な雰囲気です。

カッコイイ謡の使い方その1
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花月の名前の由来。この空気感がたまらん。

カッコイイ謡の使い方その2
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能の謡っていうか閑吟集ですが。父者、扇を…のコマがなんか印象に残ります。

そのほかの場面も森川久美節全開で耽美でうっとりです。

ベットインのシーンの美しきこと。
kagetu004.jpg

特にラストシーンのモノローグが素晴らしいです。
kagetu005.jpg
ふぁぁ…。もう言葉がでません…・
やっぱ切ない歴史系ホモ描かせたら森川久美がNo1です。
(大竹直子は切ないっていうか異空間なんで…)

この『花月物語』が読みたいなら、
多分講談社漫画文庫の『森川久美短編集‐十二夜‐』が一番手に入れやすいと思います。
ホモって言っても直接的な描写はないので、興味があったらぜひ読んでみてください。

ではでは竹内でしたー。

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